保冷保温ボックスとは
1.定温輸送の方法
定温輸送するためには次の2種類の手段があります。
- ①冷蔵/冷凍車など温度制御装置付輸送車両を使用
- ②保冷保温ボックスとPCM(保冷剤・蓄熱剤)を使用
電気の力に依存するか、化学の力に依存するかの違いであるといえます。①の方法はいわゆる電気の力を使います。片や②では、化学の力を利用します。
電気の力はエアコンや冷蔵庫などのように一般的に使用されているので、イメージしていただけると思いますが、化学の力はピンと来ないかもしれません。
ここでは、化学の力を利用した保冷保温ボックスによる定温維持の原理を説明します。
2.保冷(保温)ボックスとは何か
保冷(保温)ボックスは内材にXPSなどの断熱材を使用し、外装に遮熱性のあるシートなどで覆われた、断熱性と遮熱性を兼ね備えている箱のことです。
遮熱シートにより太陽光などの輻射熱を反射し、断熱材により外気から箱内に侵入する伝導熱を防ぐ効果があります。
保冷(保温)ボックスの性能は、ボックスの気密性と断熱材の性能(断熱材固有の熱伝導率と厚み)で決まります。
保冷保温ボックスの性能
断熱材の性能断熱材の種類と厚み
気密性
3.断熱材の性能と適正使用
断熱材には、様々な種類があります。
たとえば、断熱性能が最も高い真空断熱材や、建材にもよく使われるウレタンフォームや発泡ポリスチレンフォーム、鮮魚などに用いられる発泡スチロールなどがあります。
より高性能な保冷保温ボックスにするには、もちろん真空断熱材など高性能の断熱材で箱を作製すればいいのですが、コストがとてもかかります。それに加え、そこまでの性能を求められていない場合、無駄なコストが発生してしまいます。
また、保冷(保温)ボックスのみの使用では、定温輸送が難しくなります。保冷剤や蓄熱剤と同時に使用することで、箱内を定温状態を長時間持続させることができます。
必要な温度帯と保持時間、中に入れる商品の情報より、適正な性能を満たす保冷保温ボックスを設計することで、物流の適正化を図ることができます。